なんだか急に暑くなりました!あまりに急激な季節の変化に、なんだか疲れやすかったり身体が追いつかないことも多いかと。
でもご安心を!身体は暑さに順応します。ただ、それには少し時間が必要なんです。
ということで、今回は暑い中で身体はどんな反応をするのか、どのように適応していくのか、参考までに論文の情報をシェアします。
- -
Maximizing Athletic Performance in the Heat
Riana R. Pryor, Douglas J. Casa, William M. Adams, Luke N. Belval, Julie K. DeMartini, Robert A. Huggins, Rebecca L. Stearns, Lesley W. Vandermark
熱馴化とは簡単には暑さに慣れること。身体が体温調節の機能を向上させ、心臓血管系のストレスを軽減し、パフォーマンスを改善することです。
個人差はありますが熱馴化には10~14日間必要で、それぞれの過程で異なる変化が起こります。
3日〜6日の間に血漿量が増加し組織間液と血漿量は3~27%増加します(注:血漿とは血液の液体成分)。これによって1回心拍出量が増え、心拍数は15~25%低下し、この両方によって心臓血管系のストレスが軽減されます。
さらに、これらの変化によって皮膚への血流が増加するため、放熱が増え、深部体温を低く保つ事が可能となります。
熱馴化の後半には血管反応と汗腺順応により汗をかきやすくなります。一方で尿による水分損失が減少し体液を節約できるようになります。
また、運動中の発汗によるナトリウムの損失を最小限に抑えることができるようになり、ナトリウム濃度が維持されることで最適な血漿と間質液量を保つことが可能です。これによって血漿量が増え、心臓血管系と温度調節の効率が高まります。
要するには...
◎ 熱順化の最初の3~6日間で血液の液体成分が増え、心臓の負担が小さくなる(血液がサラサラになるイメージ)。また、これによって皮膚表面の血流が増えて、より熱を外に逃がすことができるようになる。
◎ 熱順化が進むと汗をかき易くなり、体を冷やす能力が高まります。また汗の成分も少し変化し、水分と一緒にミネラル分が失われることも減るようです。塩辛いベトベトの汗をかいていたのが、サラサラの汗になっていくような感じ。
◎ これらによってパフォーマンスが改善されます。最大心拍出量が増加し、乳酸値が減少し、より高いパフォーマンス発揮が可能になり、筋疲労も遅れるようです。
もし、暑熱環境下での運動刺激が維持されなければ、熱馴化の効果は6日ほどで減少し始めます。暑熱環境下での運動によって再び機能は回復しますが、再び熱馴化が起こるにはさらに10~14日間の運動が必要です。
- -
Heat Reacclimation Using Exercise or Hot Water Immersion
NICOLA GERRETT, PUCK ALKEMADE, and HEIN DAANEN
Medicine & Science in Sports & Exercise 2021 Jul; 53(7): 1517–1528.
↑の研究によると、10日間の暑熱環境でのトレーニング後、深部体温や皮膚表面の温度が低下したり、汗をかく率が上がったり、主観的に運動の負荷を楽に感じるようになったり、疲労困憊までの時間が伸びたりする。
4週間暑い環境に "さらされない" 期間を設け、その後また色々調べてみると、深部体温と運動の主観的なきつさは実験を始める前よりは良かったそうです。汗をかく率は低下したようですが、この実験の結果をみると1ヶ月くらいは効果が残る場合もあるようです。
- -
まとめると...
身体は暑さに順応することができるが、それには時間が必要だから焦らず頑張りましょう!
一方で、逆の言い方をすると、やらなければ慣れない...笑。
暑いのは危ないからと暑さを避けてばかりいると、身体の暑さに順応する能力は発揮されずいつまでも暑さに弱いままかも...。できる範囲で暑さに身を晒すことで暑いのが苦手な方もだんだん平気になってくるかも知れません!
特に暑くなり始める今の時期が最も注意かもしれませんが、少しずつ頑張ってみましょう!
この記事へのコメント