体をしっかり温ることのメリット

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そもそも暑い中でトレーニングすることの利点について考え始めたのは、経験的に自分が暑い中の練習の方が効果が高いような気がしていたことや、涼しいところで合宿を行えないなどの問題があったからでしたが、調べてみるとむしろ暑い環境でトレーニングすることは非常に合理的な方法なのでは感じるようになりました。

以前書いたブログでも紹介しましたが「暑い環境で過ごす」だけでも何かしら効果がありそうです(ネズミが対象の実験ですが)。とても興味深い。

実際、海外の一部のアスリートたちはこのような熱を利用した方法でパフォーマンス向上を狙っているようです。カナダの女子サッカーチームや北欧のスキー選手もシーズンinの直前に暖かい?暑い?地域で合宿を行っています。

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そんな「熱」ですが、そもそもの研究の発端は2008年の北京オリンピックのようです。夏場の北京は暑いので、それに備えておく必要があります。そのためには暑い環境でトレーニングし、体を慣らしておくことが必須です。そういうことでアメリカのマラソン代表選手も暑い環境でトレーニングに励んでいたそうですが、そんな中、選手をサポートする研究者の一人に一つの疑問が浮かびます。

「もし涼しかったらどうなるんだ?」
「反対に何か悪影響はないんだろうか?」

ということで、20人のサイクリストを対象に実験を行ったようです。

Heat acclimation improves exercise performance
Santiago Lorenzo, John R. Halliwill, Michael N. Sawka, Christopher T. Minsoncorresponding
Journal of applied physiology 2010 Oct; 109(4): 1140–1147.

簡単にまとめると、38度の気温の中での10日間のトレーニングによって、サイクリストの最大酸素摂取量が増加(13度で5%、38度で8% )、タイムトライアルのパフォーマンスが向上(13度で6%、38度で8%)、最大パワーも増加(両方5%)しています。これはおそらく血漿量の増加(6.5±1.5%)や心拍出量の増加(13度で9.1±3.4%、38度で4.5±4.6%)などが原因と考えられます。

要は暑い中で10日間トレーニングを行うと、心臓が強くなって血液の液体成分である血漿量が増加し、酸素をたくさん取り込めるようになって、パフォーマンスが向上するということのようです。

よく高地トレーニングでは赤血球(酸素を運搬する)が増加することでパフォーマンスが向上すると言われますが、ここで言われているのは血漿量の増加です。血漿量が増加すると単純に赤血球の濃度は薄くなります。すると身体は赤血球を新たに増やすような反応をするようです。したがって、パフォーマンスが向上するには1~2週間ほど時間が必要なようです。血漿量が増えてから赤血球が増えるまでに時間が必要なんですね。

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単純に熱という刺激は身体に様々な反応を生じさせます。汗をかき、心臓がばくばくします。体を冷やすために血流は皮膚の表面に集まり、結果的に毛細血管が発達し、皮膚表面に血流が集まるので筋肉の血流は減ることになります。

これは運動した時や高所に行った時の反応に似ているそうで、これを応用した治療やコンディショニングが行われています。暑熱環境でのトレーニングを高所トレーニングの準備として実施したり、高所から帰った後のコンディションをキープする為に行われています。

ただ、これは特別なことではありません。お風呂に入ったりサウナに入ったりするのが、これに当たります。

暑い中でトレーニングしたりサウナに入ったりお風呂に浸かることで、血流が良くなったり血圧が下がるという報告があるようです。また週に4回以上サウナに入るフィンランド人は1回の人に比べてアルツハイマーになりにくいという報告もあります。

さらに、カタールで行われた研究では11日間、1日60分、48度の部屋に座っているだけで筋力が17%向上したという報告もあるようです。これは衝撃的。じっと座っているだけで筋力が上がるなんてことあるのか?

とりあえず温泉に行こう!

涼しくなり、寒くなっていくこれからの季節こそ、意識的にお風呂やサウナで体をしっかり温めることは大切なのかもしれません。



参考:How Heat Therapy Could Boost Your Performance
Elite athletes are turning up the thermostat in pursuit of an edge
Outsideonline.com
Alex Hutchinson

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