2023-5-28(水分補給の研究:飲みたい時に飲んだので良いかも!?)

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「喉が渇いたときにはもう遅い」とか「早めの水分補給が大切」などとよく聞きますが、以下の研究によると「喉が渇いたときに飲めば良い」かも!?

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Impact of Ad Libitum Versus Programmed Drinking on Endurance Performance: A Systematic Review with Meta-Analysis.
Goulet EDB, Hoffman MD.
Sports Med. 2019 Feb;49(2):221-232

簡単には水分補給に関する過去の研究をまとめ直し、結局どうするのがいいのか改めて考えようと言う研究。ここでは「計画的に飲む」vs「喉が渇いたら飲む」で比較をしています。

「計画的に飲む」というのは、あらかじめ何分おきに、何mlずつ水分を補給するか決めておき、その計画に従って水分を摂取するというもの。

「喉が渇いたら飲む」というのはそのままの意味。好きな時に、好きなように、好きなだけ飲む。

この実験では気温28℃の中で、全力の80%くらいの強度で90分運動しています。

その結果...

◎「計画的に飲む」では1時間あたり1073±247mlの水分を補給したのに対し、「自由に飲む」では505±156mlを補給。

◎「計画的に飲む」では体重の減少(失った水分量)が -1.0±0.5%だったのに対し、「自由に飲む」では -2.1±0.7%だった。

◎「自由に飲む」では「計画的に飲む」よりも持久的なパフォーマンスが0.98±0.44%向上した。

と報告されています。

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とても興味深いことに、明らかに「自由に飲む」方が水分を補給できていないし、失った水分量も多いのに、パフォーマンス自体にはあまり違いがないかむしろ少し高い。

「自発的脱水」と言って、喉が渇いた!と思った時に水分を摂取したのでは十分な水分補給ができない現象があり、何も考えずに水分補給をする場合、ほとんどの人が運動中に発汗で失った水分のおよそ2/3しか補給できないんだそうです。

また、体重1%の水分減少に対し疲労困憊までの時間は28~37%短くなり、ピークパワーは12~17%減少するというデータもある。要は水分が不足するとパフォーマンスが低下すると言うことです。

以上のことから、水分補給の指標として喉の渇きはあてにならず、パフォーマンスを低下させないためにも体系的なアプローチ(計画的に飲む)が必要だ!と言われています。


一方で、今回の実験結果はそれとは少し違うみたい...。

1時間あたりの水分摂取量は感覚的な水分補給では計画的なそれと比べて半分ほどですが、パフォーマンス自体にはほとんど差がない。今回の実験では90分の運動をしたので、少なくとも90分程度の運動では自由に水分摂取したので良いのかも知れません。

ただ、90分を超えるような長時間の運動になると話は変わってくるかも。もしかしたら今回のように実験してみたら違う結果になるかもしれませんが...。

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個人的には両方のアプローチが必要かと思います。

ある程度の時間と量を決めておき、基本はその通りに水分を補給するが、細かいところは感覚で微調整する。今は飲まんで良いなぁ〜と思ったら飲まなくても良いし、まだ時間じゃないけど喉が渇いたから飲もうとか。

考えることも、感じることも、両方必要なんでしょうね〜。



2022-4-13

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