
Running does not increase symptoms or structural progression in people with knee osteoarthritis: data from the osteoarthritis initiative
Clinical Rheumatology . Sep 2018, Vol. 37 Issue 9
Lo, Grace H ら
上の論文によると、変形性膝関節症の人がランニングをしても症状がひどくなることはないし構造的な問題も悪化することはないんだとか。以下、要点をまとめながら訳してみました。
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ランニングなどの中〜高強度の運動は心筋梗塞などのリスクや死亡率を低下させると言われていますが、膝が悪い人がそんな運動をしても問題ないんでしょうか?今回は50歳以上で変形性膝関節症(主に加齢が原因で軟骨がすり減るなどして生じる膝の変形 / 痛み)のある人を対象に研究が行われています。
1203人の参加者の平均年齢は63.2歳、BMIの平均は29.5(ちょい重い)、男女比はおよそ半々。アンケートの回答から研究期間中にランニングをしているか新たに始めた人は138人でした。結果は以下の通り...(↓)
◎ レントゲンで膝の軟骨のすり減り度合いをチェックするなどして変形性膝関節症の重症度が比較されていますが、研究期間中に症状が悪化したのはランナー19.5%に対し、そうでない人は23.6%。
◎ 研究期間中に新たな痛みを訴えたのはランナー26.8%に対し、そうでない人は29.0%。
◎ 研究期間中に膝の痛みが改善したという人はランナー50%に対し、そうでない人は39.1%。
こう見ると、ランニングをしたら膝が良くなる!とは言えなくても、ランニングをするから膝が悪くなることはないようです。
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「膝が痛くても気にせず運動しろ!」ということではなく、くれぐれも無理せずマイペースで運動をしていただければと思いますが、膝を過剰に心配して運動をしなくなると別のリスクがあるような気もします。
この研究結果を見る限り、すでに変形性膝関節症と診断された人もランニングをして症状が悪化することはあまりなさそうなので、心臓血管系の病気のリスクを下げたり、健康でいるために、様子を見ながら運動をした方が良いのかもしれません。
2021-6-5
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