
みんな違ってみんないい
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「サイコロを一つ選んで100回振り、1が出た回数が17回だとする。このことから、サイコロで1が出る確率は 17/100 ≒ 1/6 だ。」
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(↑)このように一つを取り出して全体の性質を推測できるのでこれは "エルゴード的" と言うそうです。サイコロは大体どれも同じなので、一つを調べることでだいたい全体のことが分かる。
では、以下の場合はどうでしょう!?(↓)
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「無作為に松山市民を一人選び出し、100日間観察したら松山城に登った日が2日あった。このことから松山市民が松山城に行くのは100日間に2回、つまり50日に1回のペースだ。」
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話の流れはサイコロの場合と同じなんですが...明らかに変ですよね!?
理由は簡単。
たまに松山城に行く人もいれば全く行かない人もいるし、毎日登る人もいるし、人間は誰一人として同じでなく皆それぞれ違うからです。
一人のことを調べても全体のことが推測できないので、これは "非エルゴード的" と言うらしい。

松山城
では!さらにこれはどうでしょう!?(↓)
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「ネットで情報を調べると〇〇って靴が膝にめちゃ良いらしい。あれを履けば自分の膝痛もよくなるに違いない!」
「〇〇選手は〜〜な練習をして好成績を収めたらしい。自分もそんな練習をすれば強くなるに違いない!」
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みんな同じホモサイピエンスで体の作りは大体同じだし、あるスポーツ種目に必要な能力は共通している(マラソンには持久力が必要だし相撲にはパワーが必要)。
しかし!
細かいところを見ると誰一人として同じ人間はおらず、皆んな違っている(非エルゴード的)ので、そういった情報には注意が必要かもしれません。

むずかしいな!
以下の論文によると...
Lack of group-to-individual generalizability is a threat to human subjects research
Aaron J. Fisher, John D. Medaglia, and Bertus F. Jeronimus
June 2018 Proceedings of the National Academy of Sciences 115(27):6105-6115
Nonergodicity in Load and Recovery: Group Results Do Not Generalize to Individuals
Niklas D Neumann, Nico W Van Yperen, Jur J Brauers, Wouter Frencken, Michel S Brink, Koen A P M Lemmink, Laurentius A Meerhoff, Ruud J R Den Hartigh
December 2021 International Journal of Sports Physiology and Performance 17(3):1-9
同じデータでもグループ内で解析するのと個人ごとに解析するのとで結果が変わってくるんだとか。具体的にはデータの分散(バラつき)が個人ごとに解析すると非常に大きくなるそうです。
要するに 大人数のグループを対象に導き出された平均値 を、実際に現場で個人に応用する際には注意が必要ということで、そういった一般的に良いとされるメソッドもある人には効果がない場合もあるということです。
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大人数を対象としたアンケートで「お客様満足度〇〇%!」と言うのも良いんですが、大切なのは「あなたにとって良いものか」!
靴やトレーニングも同じで...
ネットで話題の靴や方法論はあなたにとっては "良くない" ものかも知れないし、予想もしなかったことがあなたにとって "とても良い" 場合もある。
自分は大人数を対象としたグループレッスンみたいなものを指導するのが非常に苦手ですが(苦笑)、その代わり、個人ごとに詳しくお話を聞き、身体の状態をチェックして、その人にあった道具や方法を提案するのが自分も好きだし得意です。
人間に関わることには非エルゴード的な要素が多いからその方が良いだろうと思います。
一人一人に合った最適な靴や方法をご提案しますので、気になることがある方はぜひお気軽にご相談ください!
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